次の行動に繋げよう~会議ノートのつくりかた~

「結局、今の会議は何の時間?」
複数人での会話はとても難しいです。5人、6人、7人…。人数が増えれば増えるほど、話は複雑になることでしょう。司会や進行があったとしても、内容が脱線することはありますよね。ひとりひとりの考え方や、会話のスピードも異なります。それら全てを把握しながら、それぞれの意見や主張を覚えていくのは至難の業でしょう。特に長時間の会議となると集中力も落ちてきますね。会議の本筋を掴むのも容易でなくなることでしょう。

そういった際に、おすすめなのが会議ノートです。

多種多様な意見を重ねて活動の方向性を選定する。これが会議の本来の姿です。話し合いの最中には、アイデア出しや情報共有も含まれることでしょう。会議で決まるのはこれからの活動の指針です。指針が決定するとともに、プロジェクトを動かすために着手すべき行動が定められます。会議ノートはそれらを明確にするツールです。肝心なのは、誰が、何を、いつまでにするのか。この3つを会議ノートにまとめて、次の行動へと素早く繋げましょう。

会議ノートの目的

会議ノートを書く上で重要なポイントが2つあります。1つ目は、「何が決まったのか」を明らかにすること。2つ目は、「誰がいつまでに何をやるのか」を捉えることです。会議の主目的はこの2つを決めることにあります。最も大切な部分ですから、誤認した情報ではいけませんね。伝え漏れや認識の相違は後々の進みに支障をきたします。会議ノートはそういった問題を防ぐツールでもあるのです。人の記憶力はとても曖昧なものです。ふまえて、自分の主観だけでは不安なこともありますよね。会議ノートを記しておくと、会議後にメンバーと誤認がないかの確認を取る際にも使えます。事実を正しく記入して情報のずれを未然に防ぎましょう。

会議ノートに記入する基本項目

会議ノートには抑えておくべき項目が6つあります。

①会議名
会議名は見返した際に分かりやすいものがいいでしょう。特に、何度も続く定例会では表題の差別化が鍵になりますね。一目で内容を思い出せるように工夫してみましょう。会議名はいわば「会議のゴール」でもあります。何を決める会議であるのかを短文で表してみてください。あらかじめ会議が始まる前に書いておくと進行中も論点が分かりやすいかもしれません。
例:SNS動画広告のCPA改善策レビュー
 :季節限定メニュー販売計画と原価率調整会議
 :次年度カリキュラム編成および必修科目見直し会議
 :冬季セール売り場レイアウト最適化MTG

②日時・場所
日時は忘れずに書いておきましょう。複数案件を同時に進めている企業だと「何の会議の、どのタイミングの話か」が分からなくなることもありますね。日時を書くことで混同を防ぐことができます。また、タスクの締め切りとの兼ね合いもはっきりとします。例えば、期限が近いのに決定が遅れていること。他にも、次回の会議までに時間が足りないこと。これらを理解しておくことは、リスク管理の一環にもなりますね。場所も明記しておきましょう。会議の種類やその目的の判別に役立ちます。社内会議室では定例会。客先オフィスでは提案。といったように、場所で“会議の性質”を推測できるため、後で見返したときの理解が早まるでしょう。

③参加者
参加者を明記することは、発言責任の認識に繋がります。決定を了承したのは誰なのか。決裁権を持つ人物の許諾であるのか。会議での合意はその場にいた人たちの責任で成り立ちます。PMやエンジニア・クライアント担当者。それぞれ誰の発言であるのかで言葉の重さやニュアンスが変わります。発言者の名前を書き留めておきましょう。あわせて、反対意見を述べる立場の人の有無も記しておきましょう。規模の大きなプロジェクトであればあるほど慎重に物事を進めることが重要になりますね。本当にこの決定で良いのかを深く思案するためにも、判断材料は多く持ちましょう。

④議題
議題は行動や目的が分かるものにしましょう。例えば、「デザイン案について」ではなく「新デザイン案の方向性確認」にするなど、何の会議であったのか短文で伝わる書き方にしましょう。議題の順番は話の流れに沿ったものがいいですね。もしくは重要度の順に並べてもわかりやすいでしょう。
例:
【プロジェクト進行形】
1.新デザイン案の方向性確認
2.開発スケジュールの再調整
3.予算追加の可否判断
4.必要リソースの再配分について
5.テスト工程の課題整理
6.公開日の最終決定

【月次業績の共有】
1.部署別KPI進捗の確認
2.来期方針の方向性共有
3.経費削減施策の検討
4.全社研修の実施有無の決定

⑤決定事項
ここでは会議の結論を書きましょう。結論は会議の総まとめです。記入漏れやミスに気を付けることも大切ですが、他にもいくつか注意することがあります。まずは条件や範囲についてです。このふたつが曖昧であると次のアクションで「そんなつもりじゃなかった」と相違が起こる可能性があります。「予算10万円以内で依頼する」「学生向けSNSのみで配信する」「対象は既存顧客のみ」など条件と範囲を意識して記入しましょう。
また、決定事項には「やらないこと」を書き残すのもポイントです。
会議で結論がまとまらず、一から見直しになった経験はありませんか?一度だけでなく何度も続くとただ無作為に時間を消費するだけの結果になってしまいますよね。後戻りを防止するためにも、やらないことを記してみましょう。「今回は屋外広告を実施しない」「紙媒体の配布は行わない」これらを残すと、会議の進み具合が変わるのでおすすめです。

⑥次のアクション(担当者・期限)
決定事項をもとに次のアクションを明らかにしましょう。コツは7つあります。書いた後に以下の点が正しく含まれているか確認してみてください。ここを抑えると誰がみてもわかりやすい文章になりますね。次のアクションへスムーズに移行できる文章を目指してみましょう。

□1アクションは1行で書く
複数の作業を一文にまとめないようにしましょう。「資料作成と確認と共有を進める」ではなく、「資料の初稿を作成する」「上長に確認依頼を送る」「全体に共有する」と細分化させ短文に収めることが重要です。

□担当を書く
担当を決めなければ、指示系統が崩れます。誰も動かなくなり、計画が頓挫する可能性もありますね。会議では適任者を担当に選びましょう。決まれば、個人名と明確な部署名を記しましょう。

□期限を日付指定に書く
「来週」「なるべく」「近日中」では曖昧です。「4月18日(木)までに提出」と日付をはっきりさせましょう。もし可能であるならば、締め切りは二つ用意しましょう。計画は思わぬ形で失敗することがあります。予期せぬトラブルに見舞われる可能性を念頭に置いておきましょう。仮の締め切りと本締め切りをつくるとリスクヘッジになりますね。

□到達基準を明確にする
ゴールをしっかり作っておきましょう。完遂は、提出であるのか。フィードバックを受けるまでなのか。承認完了までなのか。この部分が明確でないと指示を受ける人は不安を感じるかもしれません。なるべく具体的に決めておきましょう。

□依存関係がある場合は書き添える
「Aが終わらないとBができない」といった依存関係はまとめておきましょう。「素材受領後にデザイン作成開始(営業→デザイナー)」のように、動きの流れを記しておきましょう。

□共有先・連絡手段を示すと心強い
「初稿データをSlackの#projectチャンネルにアップする」「PDF形式でMessengerの会社用グループに送信する」のように導線があるとわかりやすいですね。

□未決事項とは分けておく
「検討を続ける」「次回話す」はアクションではなく保留です。この段階のものは次のアクションには組み込まないようにしましょう。別の欄に独立させて書いておくのもいいですね。混ぜると全体がぼやけるので気を付けましょう。

効率よくメモをとるポイント

会議で起こった会話を余すことなく書き添えるのはなかなか難しいですよね。ボリュームが多すぎると読み返した際に「結局はどれが結論だ?」と困ってしまうでしょう。会議ノートの内容は要点と決定事項に絞ることを意識してみてください。箇条書きにしてもいいかもしれませんね。マーカーで装飾を加えて見やすくすると親切です。会議ノートは自分が見返すだけの物ではありません。出席できなかった人が会議の内容を把握するためのツールでもあるのです。綺麗にまとめておくのも大切なポイントですね。

会議後にノートを整理・共有する方法

会議の終了後にはノートをできるだけはやく整理・共有しましょう。時間が経てば経つほどに記憶は薄れていきます。会議の温度感や細かなニュアンスを忘れない内に会議ノートを整えてみてください。また、効率よく進めることも大切ですね。素早いアクションに繋げるためにも重要な要素のひとつです。会議ノートのフォーマットを作っておくと、時短で要点をまとめることができるでしょう。簡単な枠組みを作成してみてください。何度も続く定例会では心強い味方になることでしょう。

役割(議長・参加者・記録係)別の書き方ポイント

会議ノートは参加者としての視点よりも、議事録を読む人の目線で「誰が何を決めるか」をまとめてみてください。会議ノートは個人のための物ではなく、組織のための物です。会議に出席できなかったメンバー。数年後に新しく入ってきたメンバー。組織外の人物。そういった方のためにも、わかりやすさを心がけて制作しましょう。

まとめ

会議ノートは次の会議の質を上げるためのノートでもあります。記録が残るので、引継ぎにも役立ちますね。また、契約・意思決定の証拠としても機能します。何度も何度も重ねていくうちに、結論やアクションを明確にすることが癖づくかもしれません。蓄積することで副次的なメリットがいくつも生まれてくるでしょう。ノートに書くことで、どれだけ会議を重ねてきたのかが一目でわかるのもポイントです。組織の足跡を記すことは今後の活動に大きな影響を与えるでしょう。はじめは難しいかもしれませんが、諦めずに続け、プロジェクトをよりよいものにブラッシュアップしてみてください。

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