
自分と向き合うノートの書き方
自分の心の中でモヤモヤしたものを晴らしたい、心がざわざわするから考えを整理したい。そんなふうに思ったことはありませんか。
書くときのルールがないから、気持ちが向いたときに思ったことを自由に書いていくことから始められます。
うまく書こうとしなくても、どんな言葉でも、そのときの自分にとっての大切なひとことになっていくように綴ってみませんか。そんな自分と向き合うノートの書き方について、いくつか説明させてくださいね。
心の整理、感情の言語化、気づきの可視化がもたらす変化
「なんとなく気分が落ち込む」「うまく言葉にできないけれど、心がざわつく」
そんなとき、ノートに書いてみると頭の中でぐるぐるしていた気持ちが少しずつ整理されていくことがあると思います。
そのとき感じたことや、小さな気づきを書いておくと、あとから読み返したときに変化や成長に気づけるかもしれません。
ノートは、自分を知るための鏡のような存在になりそうですね。
なぜ“ノート”が自己理解のツールになるのか
頭の中でぐるぐると巡っている気持ちや考えごとは、言葉にすると少しずつ輪郭が見えてくることがあります。
ノートに書くことで自分でも気づいていなかった思いや、奥に隠れていた本音にそっと触れることができるかもしれません。
ノートの上では誰かに気をつかう必要も、うまくまとめる必要もなく、自分のペースで向き合うことができそうです。
そのままの気持ちを受け止めてくれる場所があるというだけで、ほっとすることもあると思います。
繰り返し書いていくと、「あのときの気持ち」や「自分にとって大切なこと」が少しずつ見えてくることもあって、それが自分を理解する手がかりになっていくのではないでしょうか。
◎書くタイミング
自分と向き合うノートに向かう時間は、決まったルールがなくても大丈夫です。
むしろ、ルールを明確に決めてしまうと、書くこと自体が辛くなってしまい、本来の目的である自己整理がしづらくなるかもしれません。 ふと気持ちが揺れたとき、心がざわついたとき、あるいは何もないけれど静かな時間ができたときなど。
朝、起きたときに気持ちを整えるために書いても、夜、眠る前に今日のことを振り返ってもいいですね。
そのときどきの気分に合わせて、自由に選べるのがこのノートのいいところだと思います。
◎環境づくり
完璧に準備をしなくても、書く場所も自分が落ち着けるところならどこでも気にしなくて大丈夫です。
お気に入りの音楽をかけたり、あたたかい飲み物をそばに置いたり、ほんの少し心がゆるむようなリラックスできる空間を作ってみると、自然と言葉が出てくるかもしれません。自分が「書いてみたい」と思ったとき、その気持ちにそっと応えてあげられる空気さえあれば、それで十分かもしれませんね。
他人に見せない“安心できるスペース”としてのノート
ノートは誰かに見せるためではなく、自分だけの気持ちを書きとめられる場所だと思います。
言葉を選ばなくても、うまくまとめようとしなくても大丈夫。
今の気持ちをそのまま書いても、書きたくない日は何も書かなくても、全部自由にできるところに安心を感じられそうです。外ではがんばっている自分も、ちょっと疲れてしまった自分も、ノートの中ならそのままでいていいと思えて、どんな気持ちも否定されることなく、やさしく受けとめられて、少しずつ心がほどけていくような時間になることもあるのではないでしょうか。
誰にも見せなくていいからこそ、本当の気持ちに出会えることがあるかもしれませんね。
心がモヤモヤする理由は「見えない本音」にある
なんとなく心がざわついたり、理由のわからないモヤモヤを感じたりすることがあると思います。
表向きには「大丈夫」と思っていても、どこか落ち着かなくて、気分が沈んでしまうようなときもあるかもしれません。
そんな気持ちの奥には、まだ自分でも気づいていない「本音」がそっと隠れていることがあるようです。
がんばりすぎている気持ちや、言えなかった思い、本当は望んでいたことなど、普段は奥にしまいこんでいる気持ちが、モヤモヤという形でサインを送っているかもしれませんね。
そのままでは言葉にならない気持ちも、ノートの上なら少しずつ形になっていくことがあると思います。
ノートに書いていくうちに、自分の中にある「見えない本音」に気づけることもあって、モヤモヤの正体が少しだけわかると心がふっとゆるむのではないでしょうか。
自分と向き合うノートの書き方ステップ
はじめてノートに向かうときは、何を書いたらいいのか迷ってしまうこともあるかと思います。
そんなとき、ちょっとしたコツや流れを知っていると書くことがすこし楽に感じられることも。
自分のペースで書き進められるように、いくつかのステップに分けてみると気持ちが整いやすくなるかもしれません。
ここでは、自分とやさしく向き合うための書き方をステップごとに例を出しながら説明しますね。
◎ステップ1:今日の気持ちを正直に書き出す
まずは、今日の気持ちをそのまま書いてみるところから始めてみましょう。
「楽しかった」「なんとなく疲れた」「ちょっとさみしい」「今日はがんばったと思う」など、どんな言葉でも大丈夫です。
正解はないので、感じた気持ちや思いをそのまま書くことを大切にするのがいいですよ。
一文だけでもぽつりと気持ちを書いてみるだけで心がすこしゆるむことがあるかもしれません。
そのときの気分をうまく言葉にできないときは、「なんとなく~」という書き方を使ってみるのもありですね。
正直な気持ちを書きとめる時間は、自分にやさしくなるための小さなきっかけになるような気がします。
◎ステップ2:起こったこと・考えたことを振り返る
次に、今日起こったこと、考えたことを振り返ってみましょう。
その日にあったできごとや、心に残ったことを振り返って書いてみると、気持ちが整理されていくと思います。
どんな一日だったのか、どんなことを考えたのかを、ゆっくり思い出しながら言葉にしていくといいですよ。
書いていくことで、そのときは流してしまった気持ちにあとから気づくこともあります。
できごとをたどりながら、「どう感じたのか」「どうしてそう思ったのか」をそっと見つめてみると、自分の思考のくせや、心が反応するポイントが見えてくることもきっとあるのではないでしょうか。
◎ステップ3:どうしてそう思ったのか?深掘りしてみる
今日の気持ちや起こったこと、考えたことについて、どうしてそう思ったのか深掘りしていきます。
感じたことや考えたことを、すこしだけ深く見つめてみると、自分でも気づかなかった思いに出会えるかもしれません。
例えば、「仕事がうまくいかなくて落ち込んだ」→「もっと完璧にやりたかったのかもしれない」
「誰かの言葉にモヤっとした」→「本当は認めてほしかったのかもしれない」
こんなふうに、自分の中にある小さな気持ちを少しずつ拾っていくイメージです。
〇や矢印を使って書いてみるのもいいかもしれませんね。
深掘りすることに正解はなく、ただやさしく問いかけてみるだけでも大丈夫ですよ。
その積み重ねが、少しずつ自分への理解につながっていくと思います。
◎ステップ4:明日につながる小さな一歩・自分へのメッセージを書く
最後に、明日につながる小さな一歩や、自分へのメッセージを書いてみると気持ちがすこし前を向くことがあるかもしれません。
大きな目標でなくても、自分にやさしく声をかけるような気持ちで書いてみましょう。
「今日はよくがんばったね」「少しずつでも進んでいるから、大丈夫」そんな言葉が自分を励ましたり、安心させてくれたりすることもあると思います。
未来の自分に向けて、小さなエールを届けるような気持ちで書くと、ノートを閉じるときにふっと心があたたかくなるかもしれませんね。
目的別ノート書き方アイデア
ノートを書く理由や目的は、そのときの気分や心の状態によって少しずつ変わっていくものだと思います。
テーマを決めて書いてみると、気持ちの整理がしやすくなったり、自分への理解が深まったりすることも。
ここでは、私自身が実際に書いたノートの例をいくつか紹介します。
◎感情整理ノート

感情整理ノートは、いま感じている気持ちをそのまま書いて、自分の内側をやさしく見つめてみるためのノートです。
まずは、「今日の気分」や「心に引っかかっていること」を自由に書き出してみましょう。そのあとで自分にそっと問いかけながら、思いついたことを重ねていきます。
浮かんだままの言葉をそのままノートに置いていくような感覚で書くと、少しずつ気持ちの輪郭が見えてきて、心が軽くなるように感じることもあるかもしれません。
◎自己肯定感アップノート:できたこと/嬉しかったことを記録

自己肯定感アップノートは、できたことや、嬉しかったこと、自分の中にある小さな「好き」や「ありがとう」を集めて、自分との関係をあたたかく整えていくノートです。
どんな小さなできごとでもちゃんと認めてあげることを大切にしていきましょう。
自分で自分を認めてあげることで、次の行動への意欲に繋がるかもしれません。
自分へのやさしい言葉も書いてみると、ノートを開くたびに少し心があたたかくなるような気がしますね。
◎モヤモヤ解消ノート:「なぜ?」を5回繰り返す思考法

モヤモヤ解消ノートは、言葉にしづらい感情や、ぐるぐると頭の中で繰り返してしまう考えをいったん出してみるためのノートです。
気軽にページを開いて、心に浮かんだことを順番も気にせず自由に書いてみましょう。
なぜ?を5回繰り返していくと自分の心の中のモヤモヤの正体がわかりそうです。
うまく言葉にならなくても、今の感覚をそのまま残すだけでも少し気持ちがほぐれるかもしれません。
書いたあとで気づいたことや、小さなヒントが見えてきたら、それもそっと書き添えておくのもよさそうですね。
◎人間関係ノート:対人関係の中での自分の立ち位置や気づき

人と関わる中で心がざわついて、無理をしていたことに気づく瞬間があると思います。
人間関係ノートは、そんなときに自分の気持ちを整理し、どんな距離感が心地いいのかを見つけていくノートです。
人に対してどういうふうに接していたのか、書いていくことで自分自身の理解度も上がっていくような気がしますね。
相手の言動よりも、「自分はどう感じたか」「本当はどうしたかったか」を書いていくことで、立ち位置や気づきが少しずつ見えてくるようになるかもしれませんね。
自分と向き合うノート習慣をやさしく続ける方法
自分と向き合うノートは、毎日きっちり書こうとしなくても大丈夫です。
書けない日があっても、それはそれでいいと許してあげることも、大切な「自分との向き合い方」だと思います。
気持ちが沈んでいるとき、うまく言葉にならないときも感情の波そのままをノートに残してみると、あとから「これが本音だったのかも」と気づけることもあるのではないでしょうか。
そして、少し時間がたってからノートを見返すと、あのときよりも楽になっていたり、前とは違う考え方をしていたり、自分の中に起きた小さな変化や成長にふと気づけることも。
続けることに力を入れすぎず、自分のペースでやさしく寄り添うように付き合っていけるかもしれませんね。
まとめ
ノートに気持ちを書き出すことは、自分の中にある声にそっと耳を傾ける時間のように感じますね。
うれしい気持ちも、つらい思いも、言葉にしてページにのせることで、少しずつ心が整っていくかもしれません。
うまく書けない日があっても大丈夫。続け方も内容も、すべて自分に合ったペースでかまわないと思います。
「今の自分」をありのままに感じて、少しずつ「なりたい自分」に近づいていくために。
このノートが、そっと背中を押してくれる存在になっていくことを願っています。